99/06そして戦後70年、雨降り
雨が蕭々と降っている。
- 条件付きで賛成していたんだよね。
- そう。荒唐無稽としか言えない条件だったけど。
- 世の中、だいたいみんな荒唐無稽じゃないか。
- そう。その世の中に見合った、荒唐無稽さだった。
- 那覇と60キロしか離れていない名護に、ほんとうに軍民共用空港造って欲しかったのかね。
- 馬鹿げた問いには答えないことにしてる。
- そうだね。
- 米軍基地を民間空港にして財産とするというアイディアだけ、現実的な諸条件や必要性はとってつける。
- 使用期限だって条件だったよね。
- あぁ、みんな小馬鹿にしてたけど、日米両政府も踊ってた。
- 日本政府だけなんだろ、口先だけで約束したかのごとく振舞ったのは。
- アメリカだって、わかってて踊ってた。歌舞伎プレイと自ら言ってたんだから。
- みんな芝居してたんだよね。
雨が蕭々と降っている。
- あわれだねぇ。
- あぁ、みんなあわれだ。
- 米軍基地を受け入れるために、そんなアイディアを出すしかない沖縄もあわれだし、米軍基地を押し付け受け入れられるならと歌舞伎プレイを演じる連中もあわれ。
- 一番、あわれなのは、そんな現実をつくりだし我関せずで笑っているやつらさ。
- でも、いつまで続くんだろう。
- 条件は日米両政府に消されて久しい。沖縄が受け入れる前提条件は消えた。
- だが、日米両政府は強行するつもりだし、現にしてるよ。
- 戦後70年経った。いつまでもこんなこと続けていちゃいけない。
- 戦後70年か、普天間基地創設70年でもあるんだよね。
- 誕生パーティでもやつるもりなのさ。
- 新しい基地にリニューアルして。
雨が蕭々と降っている。
- ここで終わらせる。
- たかだか普天間基地ひとつで、それも戦時中に土地を強奪して造った基地のことで。
- 日米両政府はほんとうに強欲。恥知らずにもほどがある。
- 翁長さん、嘉手納も出て行けと言ってくれないかな。そうすれば日米も慌てるだろうに。
- 現実的に安全保障は必要と考える人だから、そこまでは踏み込まないだろう。
- そのことの重要さを日米両政府は知らなければならない。
- 少なくともアメリカはわかるだろうと思いたい。
- どうだかね。だが、どちらにも冷静に誠実に思考する政治家や官僚はいる。
雨が蕭々と降っている。
- 先行きが見通せないというのは、しんどいねぇ。
- ずっとそうだったじゃないか。条件付きで受け入れている沖縄があるときにも反対していたんだろ。
- うん。
- そのころと比べると、問題がくっきりと浮かび上がり、反対の意思を明確にしている人の多さは雲泥だ。
- そうだよね。
- 絶対、この局面を切り開く。democracyだろ、デモスのクラシーだよ。
- 雨降ってるけど、そろそろ行くか。
- ああ、地球の大切な水の循環だ、濡れて参ろう。
雨の中、歩き出す。
Mops: "Ame" (WPSF 1971, Japan) - YouTube