代案なき押し付け

◆　代案なき反対は無責任だと思うよ。そりゃ政府も強引なところはあるが、反対派だってあまりにも感情的で話し合いもなにもできないじゃないか。そんな状態では政府も強引に進めるしかないじゃないか。

◯　代案はあるし、ずっと提起し続けている。

◆　そりゃ初耳だな。どんな代案。

◯　県内移設という案に対して、無条件で返還すべきという代案だ。

◆　そんなの代案にはならない。

◯　どうして？

◆　米軍基地は安全保障のために必要だからあるんだよ。その必要性を無視する意見は案として検討・議論できない。

◯　普天間飛行場は、沖縄戦時に米軍が正当な地権者である住民を収容所に隔離している間に無断で土地家屋を奪い破壊し造った基地。

◆　だから？

◯　米軍の行為は、ハーグ陸戦法規にも違反している。なんら条件を付けず、終戦後速やかに地権者に返還すべき土地だった。

◆　成り立ちは、戦争中だからいろいろあったのは理解する。私はネトウヨみたいに無人の荒野に造ったのに後から住民が補償金と仕事欲しさに回りに住み着いたとは言わない。だけど、そのことと、現在の安全保障環境における普天間基地機能の必要性は別次元の問題だ。

◯　海兵隊は抑止力という話なんだね。

◆　ユクシ力だというんだろう。それは鳩山さんがあまりにも無能で理解不足だったんだ。彼は脳内にお花畑のある宇宙人だから。

◯　防衛大臣だった安全保障の専門家の森本敏さんは大臣在任中に「軍事的には沖縄でなくてよいが、政治的に考えると沖縄が最適」と言っていたよね。そんなことまで吐露されて、県内移設に反対するのに代案示せというのは酷じゃないか。

◆　尖閣など中国の領土拡張主義の脅威もある。軍事的にも海兵隊は沖縄にいることが抑止力になっている。

◯　尖閣でなにかあっても海兵隊は出動するはずがないという専門家も大勢いるし、そもそも危機を煽ることで沖縄に軍備を増強すれば、標的になり新たな「沖縄戦」になる。

◆　だからその「沖縄戦」を避けるためにも抑止力が必要なんじゃないか。考えてもごらんよ、沖縄にちょっかい出したら、百倍になって艦砲射撃されると思ったらちょっとやそっとじゃちょっかい出さないだろ普通。それが抑止力だよ。

◯　その艦砲射撃を鉄の暴風の如く浴びた島なんだぜここは。

◆　だから二度とそんなことがないように、自衛隊だって「島嶼防衛」に力を入れているし海兵隊機能を新たに持つんだ。

◯　日本政府の「島嶼防衛」は島の奪還作戦。島が戦場になる限り、住民はどこにも逃げ場がない。それこそ「沖縄戦」の教訓だ。

◆　君とは少し冷静に話し合えそうだから、また機会を持ちたいと思うけど、抑止力の必要性については君も考えていてくれないか。

◯　あぁ、君も島が戦場になるということの悲惨さについて、少しは「沖縄戦」に関する本や諸々で知って考えてみてくれ。

　　　　二人は別れ、別々の方向へ歩き出す。

◆　（ひとりごと）「沖縄戦」のトラウマを消してあげないと、冷静な判断はできないんだろうなぁ。若いのにかわいそうに、偏向教育の被害者だな。

◯　（ひとりごと）結局、「政治的に最適」についてはスルーされた。これが「政治的に最適」な理由なんだな。

了

逆ねじ式